鏡畳店 拡大 標準 山形の畳屋さん、鏡畳店

い草産地レポート〜いぐさを訪ねて〜

2009熊本編 (2009年2月訪問)


 今回は、熊本のい草と畳表の先生たちをご紹介します。


JA八代 谷川 隆生さん (たにがわ・たかお)
産地の熊本に行くようになったのが、2006年の谷川さんとの出会いでした。いつも案内をお願いしている兄貴的な存在です。 谷川さんは年間60万畳もの畳表をみています。ピーク時期の平成2年〜3年頃は年間400万畳をみてきたそうです。いわば、畳表の達人です。地元生産者の方にも一目置かれています。 一緒に生産者のところを訪問すると、製品に対して谷川さんのストレートな評価がぶつけられます。本人を目の前に、「これはいい。」「これはだめ。」と厳しい言葉が飛び交います。これは、畳表を見極める自信と、生産者の方との信頼関係があるからこそ言えることです。谷川さんは言います、「田んぼをみて回って、い草の生育段階から評価している。」「畳表には、作り手の想いが表れる。」重みのある言葉です。 表裏のない、信頼できる人です。




生産者 橋口 英明さん (はしぐち・ひであき) 
初めて生産地の熊本を訪れた3年前からお世話になっている橋口さんです。品評会では毎年表彰を受けている、熊本屈指の生産者です。そして、橋口さんの畳表は、首相官邸・迎賓館・熊本城・永平寺などで採用されている実績があるといえば、それ以上の説明はいらないでしょう。 橋口さんは、生産者の気持ちや、生産地の現状などを本音で話してくれます。昨年は自宅に泊めていただき、これからの生産者と畳屋のありかたをとことん話し合いました。また今年は、刈り取りの体験をさせていただく予定です。 生産者の指導者になっていく人だと思います。




生産者 久木田 毅さん (くきた・たけし) 
一言で表現するならば、孤高のい草職人。 物静かな雰囲気の久木田さんは、すべての工程を自分でやらないと気がすまないという職人肌。「根が一番大切です。白くて太い根を作る。」と、水を入れたばかりの田んぼの中で話してくれました。土のにおい、土を足で踏んだ感触で根の発育状態を知り、水管理をしているそうです。 厳しい批評をする、あの谷川さんをうならせます。谷川さん曰く、「久木田さんの畳表は、気品が漂っている。」これほどの賛辞ははないでしょう。 良質ない草づくりと、織りの高い技術力をもつ素晴らしい方です。




生産者 下永 辰也さん (しもなが・たつや) 
まさに九州男児という感じです。まわりの生産者からは「カリスマ」と呼ばれています。 下永さんのところでは、いろいろな工程を体験させていただきました。実際にやってみると、分かったという事と、できるという事では大きな違いがあることを体感しました。 また、山形にこられた時に約束した、ラジオ出演も果たしていただきました。ありがとうございました。畳表づくりに対するまっすぐな姿勢に、見習うところがたくさんあります。




生産者 平川 公治さん (ひらかわ・きみはる) 
畳表には、作り手の人間性が表れます。平川さんの繊細さと几帳面さがとてもよく出ていて、その徹底ぶりに頭が下がります。 初めて平川さんの畳表を使わせていただいたとき感じたことは、い筋が通っていることに驚きました。(いすじが通る:い草が一本一本、真っすぐに織り込まれていること。) 畳屋の常識では、弓のように曲がっていることが当たり前だと思っていましたが、「こんな畳表を織る人がいるのか。」と感心していました。お会いしたら真っ先に聞いてみようと思っていましたが、やっと願がかないました。 きれいに整頓された仕事場、きちんと管理されている製品には平川さんの想いがつまっています。




生産者 上村 和宏さん (うえむら・かずひろ) 
「近所で一番の草をつくりたい。」「いい畳表をつくるには、原草が命です。」と語る上村さん。奥様と仲良く働く姿は、とても楽しそうです。 自宅のすぐ近くにある田んぼには、毎日足を運んでい草の生育状態を見に行くそうです。この道23年の経験からくる“勘”を頼りに、地力(土の力)に合ったやり方で、品種の特性を活かしたい草づくりをしています。「い草づくりは人それぞれちがう、自分なりの工夫が必要なんです。」と話してくれました。 カメラを向けられて照れくさく笑う植村さんは、とても穏やかな方です。




生産者 小嶋 新吾さん (こじま・しんご) 
仕事人は黙々と織機に向かっていました。 小嶋さんは口数の少ない方ですが、畳表づくりに対する想いが強く伝わってきます。独自のやり方を貫く、個性的な方です。 製品を見せていただきましたが、やはり“いい。”です。多くの言葉よりも、畳表が語りかけてくれている気がします。




生産者 吉住 忍さん (よしずみ・しのぶ) 
「畳みの香りに包まれた、くつろぎのひと時を提供したい。」と穏やかな表情で話す吉住さん。 仕事場は、気さくで楽しいご家族の皆さんの笑顔でいっぱいでした。 使ってくれる人たちを想像しながら、みんなで力を合わせて畳表を織ってくれていると感じました。 くつろぎの空間になるのは、作り手の想いが製品に詰まっているからですね。




生産者 前田 孝夫さん (まえだ・たかお) 
二人三脚で畳表づくりをされている、前田さん夫婦です。 すばらしい製品を見せていただきながら、いろいろと教えていただきました。とても印象的だったのは、「毎年一年生です。」と笑いながら話してくれたことです。この言葉には、い草づくり、畳表づくりの奥深さと難しさが表れているなと感じました。




生産者 太田 智之さん (おおた・ともゆき) 
最上級の仕事は、試し織りという特別な仕事から始まる。 選別に選別を繰り返されたい草を、数十センチごとに種類を替えて織り上げる。 上質ない草が、織りの段階で更に選別される。



▼バックナンバー一覧へ戻る